vol.002
「HOMO DEMENS MAN」発売記念企画!!
HOMO対談
Shinpei Morishige×西邑卓哲
(2016年10月某日)



 



満を持して本日発売された3rdアルバム『HOMO DEMENS MAN』発売記念×対談第二弾!!
犬猿の仲であった西邑卓哲(Vo&Gt)とShinpei Morishige(Synth&Gt)、二人の出会いからバンド加入、
アルバム「HOMO DEMENS MAN」制作までのお互いを語った超ロングインタビュー!!

(撮影:荒川れいこ(zoisite)、アートディレクション:Shinpei Morishige)



----Morishigeが正式加入して初となるフルアルバムだね。


Morishige So…Booちゃんも含めてこのメンバーになってからフルアルバムとしては初だね。
もうFPC(FOXPILL CULT)に入って10ヶ月か…いつも楽しいなぁ・・・†

西邑 (Morishigeの加入は…)いろいろなタイミングが重なったっていうのもあるし。
もともとお互いに一緒にメンバーとしてやるなんて考えてなかった部分もあるわけじゃん?
すごく近い間柄だけどお互い別で頑張ろうぜっていうのがあったし。
違うバンドでやってるからこそすごく応援してたりとか、損得関係なくお互いにとって何が一番いいと思うか言い合えたりできた部分もあったわけじゃない?

Morishige うん、そうだね…お互いのバンド活動を大切にしてからね

西邑 リスペクトしてたからこそ誘おうとは思わなかった。相手をリスペクトしてるなら、それを応援すべきで。
だから何年か前の自分が見たらすごく驚くと思うんだよね

Morishige お互いの音楽活動で交わりあうっていうわけでもなかった。一回も対バンしたことがあるわけじゃないし。
ケビンちゃん(西邑)個人でいえば、当時ケビンちゃんがギタリストとして参加していたMadame Edwardaと
僕のいたバンドがSEX GANG CHILDRENの初来日公演で初めて共演することになって

西邑 そうだ

Morishige
 僕にとってはそのバンドのメンバーとしての最後のステージだった。
でもその少し前にケビンちゃんはマダムを去っていて。だから果たせずじまいだったんだよ


----そこもニアミスだったんだ?でも後にメンバーになる人ってそういうことってあるのかもね。


西邑 そうだね、もしかしたらそこの距離が近かったらもっとお互いを吟味しないで一緒にやっていたかもしれないね。
近くのシーンの人で集まってやっていたら、また仲の良さってのも違う感じのものになってしまっていたかも

Morishige 想定内の音楽性にもなってしまうかもしれないよね。遠いフィールドから見つける方が面白いかもね。
DNAが遠いところに惹かれる時ってあるでしょう?

西邑 あぁ、そうだね。DNAって近すぎると匂いが嫌だとかあるって言うしね(笑)

Morishige お互いに知り合ったのは結構な前になるんだけれどね。僕は誰かと出会ってすぐにバンドってしたことなくて…。
恋愛観にも通じるかもしれないけれど、誰かと出会ってすぐに恋に落ちるのとかは経験がないんだ。
バンドって恋愛に似てないかな。恋愛よりも難しいとも思うけど。 僕はできれば友達から始めたい方かな?
バンドの話に戻すと、もちろん音楽だけで繋がっている仲っていうのも美しいとは思うんだけど、親友とバンドをやるっていう良さもあると思うんだ。
親友でありメンバーっていう美しさ

西邑 
うん、そうだね。気付いたんだけど、よくずっと一緒にやってるバンドって高校からの友達だったり。
そういうのってなかなかないことだし俺にとってはそんなのは幻想だと思っていた。
友達だと逆にバンド組まないってのもあって…でも、やっぱり友達とバンドやることって自然なのかなって。そんなことをまさか今になってやれてる。

Morishige 音楽が全ての人同士なら結局はなるべくしてそうなるかもね。
僕はFPCを友達としても一人のファンとしても見てきて、ちょうどケビンちゃんと出会った時期はケビンちゃんがFPCを立ち上げた時期で、
そこから苦しいことがあったのも見ていたし、それでも音楽性を高めながら形にし続けてることも強く尊敬していた。
僕にはないものをたくさん持っていたし、ケビンちゃんもプエルも。
So…それで…………わぁ、眠くて頭がボーっとしてきた・・・†

西邑 えーー!(笑)

Morishige だから一緒に音を出せた時は本当に嬉しかったし楽しかった。…あれ、インタビューアーも眠くなってない?叩く?


----ありがとうございます

Morishige
 ドM(笑) こっから正座ね

西邑 百眼(※虚飾集団廻天百眼:西邑が音楽監督を務める劇団)の劇場入りの時にモリッシー(Morishige)が手伝いに来てくれて、
その時にちゃんと話す機会があってメンバーとして一緒にやろうって話になったんだよね

Morishige 
そう、その時!去年(2015年)の寒くなり出した頃かな。
ゲストメンバーとして初めて一緒に音を出した去年の8月のFPCの企画の日から、その日まで本当に悩んだし気持ちが揺れた・・・†
さっきの恋愛の話もそうなんだけど、大切な人だからこそ深く考え込んだし二の足を踏んだ・・・。
別れもそれだけ大きなものになるし。僕にとってFOXPILL CULTはただの友達のバンドっていうだけじゃなかった

西邑 組むことがきっかけで友達として破綻することもあるし

Morishige うん。FPCとは大恋愛になるとわかっていたから。恋をしてしまったら、もう友達に戻れなくなる気がして。
自分にとって音楽が大切のものじゃなかったら、友情だけのために音楽ができたかもしれないけれど
僕には音楽も友達も大切だったから、その場のノリだけではできないのが僕の正直なところだった

西邑 やっぱりブツかるもんね

Morishige バンドって悩むし疲れるし、お互いのことを受け入れ尊重し合うと同時に否定し合うことにもなりかねない訳だし。
お互い本気だからこそね・・・。でも、一緒にやることが恐いの同時に、僕の心を叩き起こしてくれる存在がケビンちゃんだったから。
こういう気持ちは抗いようがない。これも恋と似てるかな。だから素直になろうって。FOXPILL CULTでやりたいって

西邑 バンドに入って内側の人になって、実際すごくバンド自体も変わったじゃん?その変化ってMorishige的にはどう思う?
変化を感じてるのか、いや、自然だぜってのか、自分がバンドにもたらした要素だったりとか。

Morishige 変わったとは思うな。内側にいても僕は外側にいた時の目って失わないように意識していて。
恣意的ではなくて意図的に変化をもたらした部分もあるし、でもやっぱり全てが想定内ではないよ。
全てが想像なんかよりずっと。僕程度の人間が計算できるようなメンバー達ではないことは当然知っていたし。
僕ごときの想像で及びがつくようなバンドだったら一緒にやることの価値は薄れていたかもしれない。
バンドや自分がどうなるかとか想像がついてしまった面白くないし。求められるにしても、どうせならその人の想像だけに僕を当てはめないでほしくもあるし…

西邑 どうしてもさ、以前のキャリアってあるじゃん?俺もそうだったし、Morishigeだったら特にその時期そうだったと思うんだけど、
周りが思うMorishigeであることを求められてしまっているのかなって気がしてた。
俺は友達だったから、そういう要素だけじゃない違う要素のMorishigeの魅力も見てたから、色んな部分があって当たり前って思うし、
そう思えるのは友達だった部分がプラスに働いたなって思う

Morishige FOXPILL CULTの音楽が素敵っていうだけでもやらなかったと思うし、友達ってだけでもやらなかったと思うし。
友達ってだけでやるならやめた方がいいと思うし。

西邑 そうだね。地獄を見るだけだね(笑)

Morishige
 性格はいいんだけど曲は…って思いながら一緒にやるのってツライと思うから(笑)いいヤツって思ってるだけにね

西邑 それはツライよね…何も言えなくなっちゃう(笑)

Morishige でも、やっぱり一緒にやるってなると元に戻れなくなる。やっぱり恋愛と似てる。よし!頭が冴えてきた!

西邑 はは(笑)目が覚めてきた?

Morishige でも、すごくよかったと思うのは、加入前にゲストとして一緒に『邪宗門』(2014年発売フルアルバム)『蠅になろう』(2015年発売のミニアルバム)の数曲をレコーディングで弾いたこと。音を一緒に出したことのある友達って、そうじゃない友達とはまた違うと思うの

西邑 うん、そうだね。それは全然違うね


----そうだね


Morishige あの経験がより大きな信頼関係に繋がったと思うんだよね

西邑 音楽的にダメだなって時ってそれ以上仲良くなれないしね

Morishige やっぱり音楽がすごく大切なものだから、一緒にやって音楽的にダメでも友達でい続けようって、そこまでいい人間になれない

西邑 うん、無理無理(真顔)

Morishige そうなるくらいなら友達の音楽を知らない方が友人関係としてはひとつの幸せの形を保てると思う。
でも、僕らは音楽で遠慮しあって続ける関係を選ばなかったわけだよね。そういう人間同士だから一緒にやれてるし友情も保たれてるんだと思うんだよね

西邑 そうだね。

Morishige 一緒に作品作る以前にも、お互いに真剣に音楽をやってるのをずっと見てた。
苦悩する姿もお互いに見てた。だからこそ、この人はテキトーに音楽をやる人じゃないんだなって思えた

西邑 
むしろ悩んでる姿ばかり見ていた気が(笑)まぁ、俺もなんだけど

Morishige 
僕の音楽活動って同時にケビンちゃんとの歴史でもあってね(笑)出会った頃って僕は音楽をはじめて間もなかったから

西邑 その頃は俺がMorishigeのギターテックみたいなこともやってたよね(笑)自分のバンドの相談を一番したのもMorishigeだった。
俺がその時に抱えてたことって先輩じゃ解決できないことだったから。
Morishigeは現役で第一線で活躍してミュージシャンとして背負うものも大きくて強い意志もあって、
そういう気持ちがある人ってジャンルとかは関係なく大切だと思っていて。

Morishige 違うシーンでも同じ時代に生きて似た何かを背負ってね。だからやっぱり不思議なシンパシーは初めからあった気がするなぁ。
あと、お互いに音楽的なアウトプットの仕方は違うものを選んでいたけど共通項はいくらでもあったよね

西邑 言語は近かったね。例えばデペッシュ(DEPECHE MODE:イギリスのニューウェーブを代表するバンド)っぽい音って言えば伝わるし、GENE LOVES JIZABEL(80年代イギリスに活躍したニューウェーブバンド)って言ってもピンポイントで分り合えるし。その細かい匙加減をわかりあえた


----そこが俺はわからない(笑)


西邑 そこはプエルはわからなくてもよかった。それがプエルの良さだよ。
でもMorishigeが入るまでってFOXPILL CULTではそこのゾーンをわかる人っていなかったわけ。
だからバンドに入ったことによって、よりメンバーのコントラストがわかりやすくなった

Morishige FOXPILL CULTの音楽を聴いたときに色んな要素が僕のルーツと共鳴して、すぐに好きになった。
プレーヤーとしてのアウトプットは違うけどリスナーとしてインプットされているものは似てたよね

西邑 それはあったね。音楽の話でも「この話もわかる、あの話もわかる」って、そこの信頼感ですごく強いね。だから遊び場も近かったよね。
たまたま遊びに行った先で会ったり、たまたま遊びに行ったイベントでお互いにそのイベントを微妙に思ってたり。あれは良さがわからねぇなって(笑)

Morishige まぁ、嫌いなものも似てたってことだよね(笑)そいうのもあって、とにかく気が合ったからね。
だから自分がもう一回バンドをやるなら絶対にFOXPILL CULTがよかった。バンドっていう形態にこだわりもあるし

西邑 そうだね、嫌いなものも似てた(笑)でも、その時期ソロに興味もあるって言ってもいたよね?

Morishige うん、そう。ソロっていうか自分ひとりで主導する音楽活動。
その時期、いつか自分だけの音楽っていうのをやれる日がくるのかなっていう想いがあってさ。
今もそういう気持ちっていうのはゼロじゃないんどけどね。でも、やっぱり自分の曲をやるにしてもバンド形態がいい。

西邑 じゃあ、バンドにしていくつもりだったんだ

Morishige でもそれの何がピンと来ないかって、それは自分がリーダーってことだよ(笑)
僕の曲を僕が指揮して僕の純度100%にしちゃったら、僕の想像したもの以上にはならないでしょ(笑)
僕はさ、バンドに少年漫画性っていうか闘いを求めるわけ(笑)ソロだと少年漫画性が足りないの。ぶつからないなんて面白くない!

西邑 なるほどね。今はこのバンド、ちょっと漫画みたいになり過ぎてる状態だけどね(笑)

Morishige それがいいの(笑)僕みたいなタイプってバンドでこそ活きるタイプでしょ?
だから、バンドがあっての自分だけの活動みたいのはあるかもしれないけれど、うーん…
でも、FPC正式加入の話が出てから実際に加入する日まで何ヶ月も悩んだよ。
ケビンちゃんとプエルの姿を近くて見ていたし、FOXPILL CULTのことが好きだったからこそテキトーな気持ちでは絶対にやりたくなかった。
たしかその時そんな話もしたよね。僕はひとつひとつ真剣に考えちゃうのかな。
恋愛もそうだと思うんだけど、どんなにタイプの異性が目の前でアプローチしてくれても悩んで踏み出すのに時間がかかってしまう気がする…
でも、いつかな。加入の大きなキッカケになったライブって


----そりゃもうあれじゃん?(←まだこの人いたんですね)


西邑 去年(2015年)8月のFPC自主企画(Morishigeが初めてFOXPILL CULTのステージに立ったイベント)だよね。バンドでもすごく色んなことが起きてた中でのあの日だったし

Morishige もう僕も熱くなっちゃって演奏は酷いものでさ(笑)っていうのも、久々にあんなにロングで熱いライブやれてさ。
ホントに漫画っぽいバンドだなって思った。本当に楽しかった。だからこそ、すぐに応えられない自分が本当に辛かった。
音楽の楽しさを思い出すのは同時に辛いよね。恋愛と一緒で

西邑 でも、バンド内でのキャラはその時にもう出来上がっていたよね。それに、要望もすごく多かったんだよ「Morishige入らないの?」って


----多かったねぇ


Morishige そうなんだ?すごく嬉しいなぁ。僕は間違いなくケミストリーを感じでいたから。でも、それはあのライブを観てくれた多くの人も感じててくれたんだね

西邑 あったと思う。バンド感みたいなモノが生まれた瞬間だった

Morishige プエルも楽しかった?


----楽しかった。あれ、たしか脚立とか使った日だよね?


Morishige はぁ?脚立…? それは違う日だよ!!(怒)お前にとってはその程度の記憶かぁぁ!!!!!脚立は四谷の日だよ!お前はぁ!!!!!(怒)僕、今傷ついたよ!


----いやいや、覚えてる覚えてるって(焦)


西邑 こういうのよくある(笑)

Morishige プエル、恋人同士になっても記念日とか忘れるタイプだろ?


----なんだっけ?ってタイプです(笑)


西邑 さすがだね(笑)四谷の日もすごく楽しかったんだけど、あれはある意味、祭りじゃん?FPC自主企画の日は、バンドじゃん?
お互いの音とか役割とかがあって。それがすごく味わえた。
それに、俺もすごく解放されたことがあった。演奏を任せてギターを弾かずに歌うシーンがあったり。バンドの楽しい要素ってたくさんあったなってことを思い出した

Morishige その日、初めてFOXPILL CULTを内側からも見て、やっぱりこのバンドは色んなモノをたくさん持ってるバンドだなって思った。
同時に自分が最後の1ピースかもしれないって(笑)
ちょうどその時期ってプエルのバンド内での純度が上がる兆しあったも時期でしょ?
絶対にこのバンドはこれから更に良くなるって、あのライブで肌で感じた。
その頃、僕は自分が輝くことなんて二度とあり得ないんだって思っていたから、前を向き続けていつも輝いている人達を見るのが少し辛かった。
音楽関係の友達が多かったけど、彼らが前に進んで活躍しているのを言葉では喜びながらも心からは喜べない器の小さな自分もいた


----なるほどね…そっかぁ


西邑 
うん、それは本当にキツいよね…

Morishige でも、せめて一番近いところで見てきて僕の思いを汲んでくれてるFOXPILL CULTだけは突き進んでほしいと願っていた。
応援の気持ちにネガティブな感情はなかった。FOXPILL CULTのライブはほぼ全通だったからね(笑)

西邑 そうだった(笑)その時によく相談もしてたな

Morishige そのくらいの時期にケビンちゃんが来年(2016年)に向けてバンドを大きく変革させたいってことを言ったよね。
バンドを変革するってことは外からFOXPILL CULTをずっと見てきた僕も知らない未来を見せてくれるってことでしょ?そりゃ内側から見させてもらいたいよね

西邑 そうだったね。今では悪徳プロモーターとしてHIP HOPのディレクションまで…(笑)それは本当に誰も想像してなかったと思うよ(笑)

Morishige でもこのバンド入ってキャラクター性みたいのできた気がするなぁ。
まったく作為的ではないんだけどキャラ濃くないとこのバンドにいても影が薄くなっちゃうのかなぁ…。僕って平凡であんまりパンチ効いたキャラじゃないし…

西邑 いやいや(笑)この人達を見てて本当によく解らないなぁって思うのが、自分のことを普通だって思っているのが意味が分からない(笑)
もう付き合い長いけどMorishigeもプエルも頭がおかしいなぁって思いながらいつも話してる。
もちろん合う部分もあるし、どっかのモラルがすごく近いからずっと友達なんだろうけど。
「俺は変だぜ」って部分を強く出してそう見せている人もいるけれど、この人達は普段すごく飄々としている。
だから俺からすると、それを引き出せばいいだけで。
でも普通に生きていると枠っていうのが作られていっちゃって、
「これやっちゃいけない。あれやっちゃいけない」っていうのが最終的に音楽にも影響を及ぼしちゃって、それはなんか面白くないなぁって思う。

だから俺が自分の力でできること、自分の立場としてやるべきことは、メンバーの個性に歯止めをかけないことだと思っていて。
俺が一緒にやりたいと思うのはそう思えるような人で。
DARKSIDE MIRRORS(西邑がギタリストとして所属していたバンド)とか自分からやりたいって思ったバンドやメンバーって、
すげぇパンチある人ばっかりなんだよね。だから俺はそういう人に憧れがあるんだよ。
もともと自分が普通の人っていう感性ももっているから

Morishige いや、ケビンちゃんこそ変わってると思うけどね


----HIP HOPアルバムの時の格好とか…(※HOMO DEMENS MANタワーレコード限定特典)、部屋の汚さとか…
(「HOMO DEMENS MAN」タワーレコード特典のジャケット)


Morishige 部屋の汚さは特筆すべきだね

西邑 いや、音楽やってなきゃもうちょいマシだと思うよ…(笑)音源のMIX作業をしてなければもうちょっとマシなはずなんだけど…(笑)


----音源のMIXに力を入れることによって、部屋のMIXがおろそかに(笑)等価交換だ

西邑 自分でMIXできてMVも撮れるって言うと、この人は何でもできるんだって思われがちなんだけど、俺の汚い部屋を見て不味い料理を食ったら、この人は何にもできないんだって思うはずだよ(笑) Morishigeは既に俺の料理を食べてるから。見た目で既に不味いからね

Morishige あれはやばい・・・†ビーフンね。

西邑 人参を輪切りにしたのが良くなかった

Morishige いや、それもそうかもしれないけど、塩分が尋常じゃなくて…。僕はビーフンて食べたことがなくて、子供の頃テレビで「ケンミンの焼ビーフン」のCMを観てからずっと食べたくて(笑)そうしたら、共通の知人が食材をプレゼントしてくれて「ケビンに作ってもらいな」って。
でも、どう考えても作ってもらう相手を間違ってるよね(笑)初めて食べたビーフンがあれなんて…(涙)

西邑 そもそも俺だってほとんどビーフン食ったことねぇよ(笑)

Morishige 
でも、すごく嬉しかった。母以外の手料理を食べたのも初めてだったし。
なんて言うのかな。例えば「クレイマー、クレイマー」(アカデミー賞を受賞したハリウッド映画)みたいな父子家庭でお父さんが慣れない必死に料理を作ってくれるような… だから部屋が汚いのもすごく愛おしく思えた…なんか同情でもしていたのかな…

西邑 おい、同情までされるいわれはねぇよ(笑)


----シチュエーション的には完璧なわけだ(笑)美味しかねぇけどありがとうって(笑)


Morishige 僕にはどこの三ツ星レストランよりも美味く感じた。でも、やっぱり塩分が…寿命を縮めて食べたね(笑)

西邑 だいぶ血圧を攻めたね(笑)

Morishige でも、あのパンクイベントで出会った時に遡ると一緒にバンドをやるどころか同じ釜の飯を食うとは思っていなかったなぁ(笑)

西邑 あのパンクイベントの日か(笑)

Morishige 僕は、紹介したい人がいるって先輩に連れられて行って。僕はバンドを始めて間もないのに周りにちやほやされてる時期で調子に乗ってたけど誰のことを信用したらいいかも分からなくて。
ケビンちゃんは震災の影響もあって、過去のキャリアを捨ててバンドを解体していた時期で。お互いにすごくピリピリしてる中で出会った

西邑 でも、そのことは逆にちょっと信頼感になったよ。ピリピリしている部分があるっていうのはMorishigeへの信頼要素かも

Morishige 音楽やってる人って心に刃を持っているのが当然だと思っていたし、みんな腹の底では何を考えているかわからないと思ってたから舐められたくなかったし。
その中でも、ケビンちゃんはとにかく刺々しい空気を持っていたからね。見るからに心に刃を持っていそうだったし。
剃り込み入れてて髪形も恐かったし(笑)でも、嘘で最初から仲が良いフリをするくらいなら、それでよかったと思う


----まぁ最初から仲良し子好しってのもヤバイか(笑)


西邑 逆に最初っからお互い「舐めてんの?」みたいな空気だったじゃん(笑)

Morishige 僕も挨拶は顎が上がったまま「モリシゲですが何か」って偉そうな感じで(笑)で、先輩から「彼がケビン」って紹介されて

西邑 「いや、西邑だけど?(怒)」ってすぐ訂正したけどね(笑)とにかく、お互いにちょいちょい棘があったね

Morishige ギターの弾きっぷりもホントにパンクでさ。顔もシド・ヴィシャスみたいな表情で。あっ、タカ・ヴィシャスか(笑)でも、最初に出会った時にステージで演奏してるのを観れてよかったんだろなぁ。本人はベストの状態でのステージではなかったと思うけれど、すごく尖っててカッコよかったし、きっとこの
人は心に棘を持っていて面倒くさい人なんだろうなぁって思った

西邑 実際に面倒くさい人だったしね(笑)

Morishige あとになって知ったことなんだけど、それより前にケビンちゃんも付き合いで僕のライブを観に来てくれてたんだよね?
Koziさん(現ZIZ:西邑とMorishigeの共通の知人でもある)と出たイベントで。
だから直接会ったそのパンクイベントの時点でお互いのステージを観てたってことになるわけ

西邑 そう、観てる。出会う前から気になるバンドだったし

Morishige そのパンクイベントでは、お互いに歩み寄ることはなかったけど「ふーん、面白いヤツいるじゃん」って感じで帰って


----それも少年漫画っぽいじゃん(笑)


西邑 「これがあそこのアイツか。俺は絶対に特別扱いしねぇからな」って。みんながMorishigeをちやほやしてたからね(笑)

Morishige でも同時に、自分てみんなに能天気でバカだと思われて都合よく転がされてるんだろうなって思って漠然とイライラしてた。
色んな人を紹介もされたけど、よくわからなかった。
でも、ケビンちゃんだけはたくさん紹介された人の中の一人っていう感じではなかった。プライドが高いのも感じたし


----高飛車スしてた?その出会いのパンクイベントって俺が入る前?


西邑 入る前。もともとFOXPiLLで誘われていたんだけど、イベントの直前に震災が起きてバンドで出れなくなってしまって。
だから、ゲストとしてギターを弾くことになったんだよ。会ってしばらくは自分のバンドの話もしなかったし

Morishige 絶対に気が合うから紹介したいって言われてたんだけど、いざ会ってみたらソフトモヒカンだし感じ悪いし「気が合うわけねぇだろ」って(笑)
で、その次に観たケビンちゃんのステージはマダムのギタリストとしてのケビンちゃんで。すごくカッコよかった。お客様もたくさん入ってたし

西邑 俺もその当時はまだFPC以外にマダムとかでもギターを弾いてたし、色々やってきちゃったからか
輩以外でちゃんと直接ケンカを売ってくるようなヤツもあんまりいなかったし、だからMorishigeみたいな存在は印象的だった

Morishige マダムはゴス界のレジェンドだからね。でも、そんな尖りあってた僕らも呉越同舟でお互いに共通の知人に誘われていった某イベントがあって、
そこではお互いに知り合いもいなくて(笑)呼んでくれた知人も見当たらないし…。
で、ケビンちゃんは会場でも目立ってたからすぐに居るのはわかっていたんだけど、
出会った日にあんな空気だったから絶対に僕からは声をかけられないって心を閉ざしてて…
でもケビンちゃんの方から「オス」って感じで固かったけど声をかけてくれて。あれはすごく嬉しかった…(涙)
僕は何て小さい男なんだって思った(笑)で、その瞬間からお互いの口から溢れ出すそのイベントへの愚痴(笑)

西邑 割とその頃から今に近い関係になったよね(笑)

Morishige 不思議なんだけどそんな出来事があってこの人は信用できるなって思えて、すごく好きになって。
好きになったら僕、どっぷり甘えちゃうから(笑)で、このあとケビンちゃんがメンバーのピアニカのレコーディングがあるって言うから見学しにいってもいい?って(笑)
とにかく僕には現場の経験が少なかったからっていうのもあったし、ケビンちゃんに本当は心の底では会った日から興味があって仲良くなりたかったのかもしれないな。
そのレコーディングスタジオで会ったのが君だよ、プエル(笑)


----で、家に遊びに行ったらあの部屋の汚さだ(笑)


Morishige そう(笑)あの時、ワーストに散らかってなかった?思わず写真撮りまくったもん

西邑 あの時がワースト(笑)なんか病んでたのかなぁ?(笑)でも、本当に心に余裕がない時期だったなぁ。
今と比べたら、今の方がやらなくちゃいけないことは全然多い。その時なんて別にリリースもないしライブもないんだけど、状況を持ち直すにはどうすればいいんだろうっていうので特典を作ったりとか、たくさん作品を作って、とにかく足掻いた。
だから自分の中では忙しかったんだと思うし、心に余裕がなかったんだと思う

Morishige いろんな造形物っていうかオブジェとかもあったよね(笑)

西邑 色んな物をライブに投入していたからね(笑)



----でも、ゲッティは汚い部屋って安心するって言ってたよね?


Morishige うん、あんまり話に出ないけれど僕の父もケビンちゃんと似たところがあって。すごく無頓着なの。
自分にとってどうでもいいことはとことん気にしなくてずぼらだし、大切にこだわるところはとことんこだわる。
取捨選択っていうか。うーん、なんて言ったらいいのかな?

西邑 うん、そういうのはわかる。プエルも自然とそれができてる人だよね。
本人は気が付いてないような感じなんだけど、ある意味それは正しいなって思う時がある。いつもそれを自然と選択してて

Morishige お互いの美的感覚は認め合うべきことだけど、感覚的な部分で僕はケビンちゃんの部屋が好きだった。
つまらない事は気にしないし、なりふり構わないでやることも時に大切だと思うし。それって大切なモノがあるが故だとも思うし

西邑 何かで度を超えるっていうのはそういうことだよね

Morishige ケビンちゃんは出会った時から音楽野郎でギター野郎だったからね。部屋も機材だらけで。無骨なまでにギター野郎だと思ってた。
無骨っていうのはスタイリッシュであることよりカッコいいと思うんだよ。周りにスタイリッシュな人達もいたけど泥水すすえないで音楽やめちゃう人もいたし。
自分もそういう一人になるかもしれなかったけど僕はなれなかった


----さらりと音楽から離れようと思ったのにそうはなれなかったって言ってたもんね


西邑 絶対にやめられなそうじゃんて思ってたよ(笑)外から見てるとすごくよくわかった

Morishige 音を出さなかった時期って自分が立ち向かってるのか逃げてるのかもよくわからなかった。でも音を出し続けることも同じなのかもなぁ。
音楽は自分との闘いでもあって、逃げ場でもあって。何か逃げ続けてきたら気が付いたら音楽に辿り着いて、救ってくれたのかもしれないし。
ずっと闘っているからこそいつも楽しいのかもな。ケビンちゃんはずっと闘ってるよね。音楽的な部分でももちろん尊敬してるけど、それと共に強さもある。
何があってもやめないタフネスって誰にでも与えられるモノじゃない。カッコつけて綺麗に終わりにするよりに何があっても立ち続けるほうがずっとカッコいいと思う

西邑 一度折れたらお終いだからね。バンドやってりゃ色んな人に折られるようなこともすごく一杯されるわけだし。今だってそうなわけだし

Morishige まぁ、そんなケビンちゃんとだからバンドをやったら楽しいってわかっていたよ。もちろんプエルともそうだし、Booちゃんからもきっとこれから色んなことを教えてもらえると思う。だってBooちゃんて歴戦の猛者って感じで底知れぬ何かを持っているでしょ?

西邑 
影のボスだからね(笑)


----どんな戦いでも絶対に死なないで生き残るよね(笑)


Morishige そんなメンバー達に囲まれてるから、自分に何もなくなったら押し潰されてしまうんだろうな

西邑 何だかんだ言って、本気ならどこのバンドも中に入っちゃうと実力主義になってしまうっていうのはある気がする。
プエルとかはさ、元の才能があるからさ、あとは引き出されていくだけで。
でも、本当に普通の人が入った時に辛いだろうなっていうのは今思えばそうだね。
外見ばっかりよくしてても実力や表現したい事がなかったら、音楽やろうとしてるバンドじゃ無理なんだと思う。引き出しがなければ何も出てこないし。
プエルが上手くなれば上手くなるだけアルバムの中での役割が増えていくように、そうじゃなければ割合も減ってしまうし。だからバンドってシビアなんだなって。
肩書きとか意味ないし。


----アルバムの話になっちゃうけどFPCのレコーディングってやっぱり独特?普通、レコーディングスタジオ入ってエンジニア付けてっていうイメージだけど


Morishige そうだね。僕はそういうレコーディングだった。ケビンちゃんがエンジニアも務めるっていうFPCのスタイルは初めてだよ

西邑 うん、独特だと思う。従来のスタイルでレコーディングをやるとどうしても大きな費用がかかっちゃうんだよね。
良かったのは前のバンド(DARKSIDE MIRRORS)でそういう大きいスタジオも経験してるからね。
だからこの音はどこで録っても変わらないとか、これはここでしか録れないとか、今自分たちがどこに金をかけるべきかとか、そういうのを学んだ。
バックアッパーがいるわけじゃないから、そういうところが重要だったし、作品として考えたときに自分で全部できることはよかった。
資金面のストレスがなかったからね


----そういうストレスってゲッティも前のバンドではやっぱりあった?


Morishige あった気がする。レコード会社からバンドのリリースのために与えられる資金て決められてるし、やっぱりレコーディングって莫大な費用がかかるものだったし。レコーディングスタジオにも時間の制約があるし。だからケビンちゃんみたいにエンジニアができるのは本当に強い

西邑 普通なら何回も録り直せないしね。その日に風邪引いたら終わりだし。
納得できないものでも受け入れるしかないしね。MVとかもまさにそれ。
納得できなくてもお金は発生する。逆に俺が仕事を依頼されてもそうだしね。「それは払ってくれよ」って(笑)

あと自分でやってていいところは、今よりクオリティが下がらないことも強いと思う。技術やセンスもそうだけど、
最初は下手だからダサいところから始まるんだけど、技術が付くほど確実に良くなる。
昔カッコいい作品を出していたバンドが資金力を理由に微妙なものしか出せなくなっていくって現象はD.I.Yだと陥らない。
それにミックスのバランスだって一つの表現方法でしょ?
音の良さの価値観なんて状況によって驚くほど変わるし、セオリーはあれど画一化される必要はないと思ってるしね。

Morishige 
なるほどね…で、プエルそろそろ上手くまとめてよ(笑)何で目がしょぼしょぼしてるんだよ(怒)


----眠さと、ずっと正座させらてるのがキツくて…


西邑 はは(笑)じゃあ、なんかこれからなんかやりたいことってある?

Morishige うーん、たくさんあるかなぁ…。フルアルバムが完成してワンマンライブも決まったから、それらを最高の形で通過したい。
この質問、先日発売された荒川さん(zoisite)の黒本(※obsidian2: zoisiteオンラインショップで販売中(※クリックすると通販ページに飛べます))
のインタビューでも訊かれて、その時は旅行が趣味だから海外旅行って答えたんだけど…。
うーん、でもやっぱり自分ですごく綺麗な曲を作りたい。
この『HOMO DEMENS MAN』ていうアルバムを通して自分が成長できたのであれば、その自分の純度100%で作品にしてみたら面白いかもなぁ

西邑 うん、これからもバンドでの純度もどんどん上がっていくと思うからね。下がることはないでしょ

Morishige 「最初の頃はあんな元気だったのに、いつの間にか居るだか居ないんだかわからない影の薄いメンバーになったな」ってこともあるかもしれないよ?「Morishigeに何があったんだ!?」みたいなさ

西邑 ははは(笑)もう楽器も弾かずにね(笑)

Morishige まぁアルバムを通して色々変われたと思う。タワレコ特典でHIP HOPに傾倒したのもそうだし、ユニオン特典でも綺麗な曲にできたし


----HIP HOPのなんて、それこそ昔のMorishigeを知ってる人からしたら「何があったんだ!?」ってレベルでしょ(笑)自分でもそんなことをやるとは思ってた?


Morishige 思ってないよ(笑)行き当たりばったりの思い付きだよ、全部(笑)

西邑 それを本当に実行する俺らメンバーがいるからなぁ(笑)

Morishige 
FPCじゃなかったら、こんなワルノリってあり得ないけど、ワルノリの延長線上で活動するのも大切にしていきたいし(笑)


----キッズ感あるね(笑)


Morishige それができるのもアルバムを本気で作ってるからで、ドシッとしたものがあるからだし

西邑 それに、そういう要素ってアルバムにちゃんと返ってくるしね

Morishige で、ケビンちゃんは?

西邑 俺は今の話に繋げちゃうとタワーレコードの特典で自分のルーツ(※HIP HOP)を作ったことによって、
今まで忘れて閉じていた回路がすげぇ開いちゃったの。
だからまた次の作品で何か変わるだろうなって思ってる。だから休みたい気持ちもあるんだけど、早く何かを作りたい。
だからやりたいことがすげぇ一杯あるし止まる気がしねぇなって思ってる

Morishige なるほどね。引き出しを開いたわけだね。僕もFPCの僕以外の3人のメンバーとアルバムによって一元的だった自分の美的感覚が広がってきた。
僕さ、美って体現するもので、美について語る人ってあまり好きじゃないんだけど。
だから、僕の観念で言う美しい作品を作りたい。語ることのできない美

西邑 おお、なるほどね。そういうのも作ってみたいね。そういう感覚を具現化したのもの。感じることでしかわからない美ってあるね。そういうのには太刀打ちできないよね。可愛いっていう美しさもあれば、それだけじゃない美ももある

Morishige 表面的な美しさじゃなくって多義性を含んだもの。ブラックミュージックも美しいし、HIP HOPだって美しいと思ってやったし。
そういうのが拡がったと思う。プエルを美しいと思ったらアレかもしれないけど…(笑)


----ははは(笑)


西邑 ははは(笑)

Morishige でも、やっぱりプエルのことを美しいと思うんだよ。肉体的なところだったり

西邑 生命力みたいなところね

Morishige そうそう、オーガニックなところや、そこから発せられるメロディやアンサンブル。
ケビンちゃんも美しいと思うし。 歪曲された異形の美しさも真っ直ぐな美しさもある。Booちゃんの持つ静かな凶暴性もそう。


----でも、やっぱりケビンちゃんはやっぱりあの部屋が物語ってるでしょ(笑)


西邑 眼が悪ければあの部屋だって美しく感じるよ(笑)

Morishige たしかに万華鏡に見えるかも

西邑 うん、万華鏡に見えるよ。色は一杯あるし

Morishige 自分の美しさだけがまだわからないから、それを形にしたい

西邑 音楽はそれを写す鏡だね


----俺のケータイに入ってるゲッティの没落貴族の写真とか美を感じるけどなぁ(笑)




Interview:プエル


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